FC2ブログ
2018 10 ≪  11月 123456789101112131415161718192021222324252627282930  ≫ 2018 12
【雪風流・空想小説】 (仮)静かなる隷嬢①
2018/05/27(Sun)
 ご無沙汰しています。
 久しぶりに書いてみたくなり、空想小説を始めてみます。
 どこまでいけるかわかりませんが、ご笑覧いただければと思います。


iPhonが鳴った。
 これが鳴るときは、仕事の飛び込みばかりで、いつもスケジュールを狂わせられる。
 手に取ると、これまで着信していない電話番号が表示されている。
「はい」
「久しぶりだな、Y」
「なんだ、大道寺か」
「なんだは、ないだろう。久しぶりに、蕎麦でも食べないか?いい店見つけたから」
「ほー、珍しいな。まあいい。一口やるか」
「じゃあ1時間後に、〇〇駅のコンビニの前で会おう」
「わかった。じゃあ、あとから」
「よろしくな、ちょっと頼みたいことがあるから」
 一人で言いっぱなしのまま、電話は切れた。

 大道寺は、かれこれ10年を超える付き合いになる。
Y流の道場で、お互いに切磋琢磨した同期だ。
彼は、私をライバルに見据えているが、私は気にかけていない。
それは、基本的にプレイの向きが違うからだ。
私はソフト嗜好だが、大道寺はハード路線、裸体緊縛、吊り、鞭、ロウソク…。
Aも大好物だと聞く。
私は彼より年上のこともあるが、同期のよしみか、気軽に声をかけてくる。

 1時間後、私は彼と約束したコンビニの前に立った。
気温は少し高めだが、微風が流れているので、すがすがしさも感じる。
「おまたせ」
 声をかけられて振り向くと、いつもながらのラフな服装、Tシャツの上に少し厚手のシャツを羽織っていた。
「久しぶり。今日はどんな蕎麦に連れて行ってくれるんだい」
「この近くさ。行こう」
 そういうと彼は振り向いて、先に歩き始めた。

「ここだよ」
「こんな店あったかな。味はどうだい」
「まあまあだ。飲めるよ」
「飲めない蕎麦屋は、だめだね。昔は、居酒屋の代わりが蕎麦屋だったんだから」
「そうだな」
 暖簾をくぐり店に入ると、4人掛けのテーブルが4つ、2列に並んでいた。
 今は土曜日の昼、ワイシャツ姿の会社員が2組ほど入っている。

「ビールもらえる」
「はーい」
 おばちゃんの明るい声が返ってきた。
 奥では、ご主人らしき男性が、蕎麦をゆでている。

「お待たせ」
「ありがとう、やろう」
 頷いて、置かれたコップを手に取り彼に差出した。
 琥珀色のビールが、コップに注がれていく。
「注いでやるよ」
「うれしいねー」
 2人のコップが満たされた。
「久しぶり、乾杯」
 カチンとコップを合わせて口元へ運ぶ。
 ゴクリと一息で、コップを空けると、いつもながらのうれしい感覚が、胃に染みわたる。
「うまいねー」
 彼はご機嫌で、いくつか「つまみ」を頼みつつ、話しかけてきた。

APHM7644.jpg

「最近はどうだい。今、誰か育ててるか」
「いや。昼間の仕事も忙しいから1年ほど誰ともしていない」
「そうか。早速だけども、実は頼みたい隷(嬢)がいるんだ」
「お前が手を付けたのなら、最後まで育て上げないといけないだろう」
「まだ手は付けてないぜ。面談しただけだ。実は別の隷を育てろって本部が急に言ってきて、困ってるんだ」
「うれしい悲鳴、というやつだな」
「いつもなら、多頭(飼い)も大丈夫なんだが。今回の隷は、少し気合を入れないと難しいらしい」
「どんな隷だい」
「普通に強打、ハード志向だと思ったんだが、どうもプレイが盛り上がり夢中になり始めるときに、落とし穴があって、急に醒めるらしい。その穴をコントロールできるようにしろというのが本部指令なんだ」
「むずかしい隷だな。心と感覚を複数持っている多面性の隷かな」
「そうらしい。もう一杯どう」
「うん」
 コップを空けて、もう一度注いでもらう。
「やはり、Eビールは、いいな」
「話を戻そう。そこでだ。今回後から来た本部指令の隷は、俺も興味があるので手にかけてみたい」
「そうだろうな。ということは、その先に面談したという隷を俺に頼みたいのか」
「話が早いな。そのとおりなんだ」
「でも、お前はハード路線だろ。オレとは違うから」
「そんなことはない。先の隷は、面談の時に見たところソフト系だ。それを俺がハードに変えようと思ってプランを考えていたんだが…」
「その通りにやればいいじゃないか。お前のプレイは、ハマるとハマるらしいからな」
「誉め言葉かい?そう行きたいところなんだが、少し他を止めて今度の依頼に没頭してみたいとも思っている」
「そうか。それで、こちらに頼みたいのはどんな隷かな」
「会えばわかる」
「説明になってないな」
「いや、近くに待機させてるんだよ」
「はっはっ、手回し良すぎないか?今日のオレは、アイテムを持っていないぜ」
「今日のプレイは、気が向いたらでいいと思う。ただ、面談はしてやってほしい」
「いつもながら、いきなりかい」
「先輩に、スンマセン」
「こんな時だけ年上扱いか。まあ話だけなら会ってやってもいいが、担うかどうかは別、でいいか」
「突然だから、仕方ないね。まあ、気に入らなければ、本部に話すよ」
 そういうと彼はiPhonを取り出して、LINEを打ち込んだ。
「今少しで来るから、見てやってくれ」

 他愛もない話をしていると、店の暖簾が動いた。
「いらっしゃいー」
 そこには、20代前半と思われるワンピの女性が立っていた。
 中肉中背と言うよりも少し華奢かな。
いや、しっかりと出るところは出でいるし、引くべきところは引いている。
 少し童顔っぽいが、唇は一文字に閉じられている。
 大道寺を見つけると、こちらにゆっくりと歩いてきた。
「座って。あっビールもう1本ね」
「はーい」
 大道寺が、彼女をリードし、隷は一礼して彼の隣の席を引く。
「こんにちは。初めまして「あや」です」
「こんにちは」
「こちらが、昨日話したYさん。俺より優しいから、はっ、はっ、はっ」
 あやという隷は、静かに頭を下げた。
この記事のURL | 静かなる隷嬢 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
コメント
コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する


▲ top

トラックバック
トラックバックURL
→http://nawagesyouyukikaze.blog81.fc2.com/tb.php/593-2dfa1e48

| メイン |